ISSB、自然関連開示の公開草案を公表 TNFDを基礎に位置情報・バリューチェーン開示を具体化

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サステナビリティ基準委員会(SSBJ)は2026年10月22日の第74回会合で、EFRAGのESRS-40a公開草案へコメントを提出することを了承しました。コメント期限は2026年10月31日です。 SSBJが問題視したのは、日本企業がSSBJ基準とESRS-40aに基づく報告を並行する場合の追加負荷です。基準差、リスク・機会・レジリエンス・依存関係(RORD)等の情報の扱い、混合アプローチにおける「欧州関連」の特定、EU法令への参照という4つの実務論点が示されました。制度別にデータを集め直すのではなく、共通データ、報告境界、開示要件のマッピング、証跡を横断管理する設計が重要になります。


国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は2026年10月22日、公開草案「IFRSサステナビリティ開示実務記述書第1号『自然関連開示』」を公表しました。自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の枠組みを踏まえ、自然関連のリスク・機会について投資家に重要な情報を提供するための考え方を示しています。意見募集の締切は2027年2月19日です。

今回の提案は、すべての企業に新たな開示義務を一律に課すものではありません。既存のIFRS S1・S2との関係や、所在地を含む自然関連情報の扱いが主な論点です。

Practice Statementの位置づけと適用時期

今回の公開草案は、IFRS S1・S2を補う「実務記述書(Practice Statement)」として提案されています。IFRS S1を適用する企業には、自然関連を含め、事業の見通しに影響し得るリスク・機会について重要性のある情報の開示がすでに求められています。 実務記述書は、その情報をどのように開示するかを具体化するものです。

実務記述書そのものを適用しなくても、ISSB基準への準拠を表明できます。ただし、各国・地域の規制当局が適用を求める可能性はあります。ISSBは今回、実務記述書として最終化するか、基準書など別の形式で公表するかについても意見を募集しています。

最終的な文書形式と発行時期、各法域での取扱いは未確定です。公開草案では、最終文書の発行後に利用可能とすることが提案されています。

主な提案内容:所在地情報と自然関連リスクの評価

公開草案はTNFDの提言やガイダンスを幅広く参照し、自然への依存・インパクトが、企業のリスク・機会にどうつながるかを重視しています。特に、事業拠点やバリューチェーン上の活動がどこで自然と関わっているかという「所在地」が重要な論点です。

所在地情報の範囲や詳しさは、企業の事業特性や重要性、入手可能な情報などを踏まえて判断することが想定されています。すべての拠点・取引先について、同じ細かさの位置情報を一律に開示するという意味ではありません。

また、気候と自然のリスクのつながり、先住民族・地域コミュニティや影響を受ける関係者との関係も扱っています。自然関連シナリオ分析を通じた事業のレジリエンス評価や、自然関連リスクにさらされる資産・事業活動に関する指標も提案に含まれています。

TNFDのLEAPアプローチ(自然との接点を特定し、依存・影響、リスク・機会を評価する手法)は、情報を整理する際に参考となります。ただし、LEAPの使用自体が実務記述書への準拠要件となるわけではありません。

企業実務への影響

今回の公開草案だけを理由に、日本企業へ一律の新たな開示義務が生じるわけではありません。一方、IFRS S1・S2やTNFD、海外の開示制度への対応を進める企業にとっては、既存の情報をどこまで活用できるかを確認する機会になります。

実務上は、次の点を確認するとよいでしょう。

  • 所在地情報:自社拠点や主要な調達先について、自然関連リスクの評価に必要な場所の情報を把握できているか
  • 重要性判断:自然への依存・インパクトから、事業や財務に影響するリスク・機会を説明できるか
  • データ管理:TNFD等の評価結果、判断根拠、担当部署を確認し、開示に再利用できるか

ISSBは、グローバル・レポーティング・イニシアティブ(GRI)スタンダードや欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)との併用も考慮しています。複数の制度に対応する企業では、共通する情報を別々に集め直さない仕組みも検討課題となります。

SLM編集部コメント

自然関連リスクは、事業や調達先の所在地によって異なります。まずは、自社が持つ拠点・原材料・主要サプライヤーの情報を確認し、どの範囲で自然との関わりを評価できるかを把握しておくとよいでしょう。

すでにTNFDに沿った評価を行っている企業は、その結果をIFRS S1の重要性判断や財務・IRでの説明に活用できるかがポイントです。新たな情報収集を始める前に、既存データの所在、評価の根拠、担当部署を確認することが、今後の対応につながります。


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