GHGプロトコル、Scope 2マーケット基準で2方式の併存を検討 移行時期は未定

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GHG ProtocolがScope 2マーケット基準の改定状況を公表。時間的一致・供給可能性などを重視する新方式(Method 1)と、現行要件を維持する方式(Method 2)の併存案を解説します。移行時期や具体的な要件は未定であり、日本企業が確認したい電力データや再エネ証書の管理ポイントを整理します。


GHG Protocolは2026年10月16日、温室効果ガス(GHG)のScope 2算定で用いるマーケット基準について、改定の検討状況を公表しました。時間単位の電力使用量と発電量の一致などを重視する新方式と、2015年版の要件を維持する方式を併存させ、将来的に新方式へ移行する案が議論されています。

2方式の位置づけや移行時期は、まだ最終決定していません。 企業にとっては、現行の算定方法を直ちに変更する話ではなく、再エネ調達やScope 2算定に必要なデータを今後どこまで確認できるかが焦点になります。

Method 1とMethod 2の違い

2025年10月~2026年1月の公開協議では、発電と電力使用の時間・場所の整合性を高める考え方と、年間単位での証書利用を認め、市場参加のしやすさを維持する考え方が示されました。これを受け、GHG Protocolは次の2方式を検討しています。

方式 検討されている内容
Method 1(新方式) 時間的一致(電力を使う時間と発電時間の整合)、供給可能性(電力の消費地点に供給可能な電力系統・地域との整合)、発電設備の新設時期に関する要件(Incrementality)を組み込む案。
Method 2(現行方式ベース) 2015年版Scope 2ガイダンスのマーケット基準の要件を維持し、現在の環境価値証書や電力調達の仕組みを引き続き活用できるようにする案。

※ここでいう「2方式」は、従来のロケーション基準とマーケット基準の区別ではなく、マーケット基準の中で検討されている2つの方法です。

2026年7月の独立基準委員会(ISB)では、要件の異なる2方式を開発する考え方が多数の支持を得ました。9月の議論では、一定期間はMethod 2の使用を認め、マーケット基準で報告する企業が適用方式を明示したうえで、将来的には品質基準を満たすデータを利用できる場合にMethod 1を使う方向が示されています。

今後の審議と公表スケジュール

今後詰める必要があるのは、マーケット基準による報告を義務・推奨・任意のどれとするか、Method 2からの移行期限、時間的一致や供給可能性などの具体的な要件です。いずれも現時点で確定していません。

技術作業部会(TWG)が検討する改定案は、ISBの審査・承認を経て、2027年第2四半期に予定される統合公開協議に盛り込まれる見通しです。GHG Protocolと国際標準化機構(ISO)が共同で策定する企業向け基準は2028年第4四半期の公表予定ですが、これはMethod 1への移行期限ではありません。

日本企業が確認したいこと

新方式の内容次第では、年間の電力使用量と環境価値証書の数量だけでは、必要な情報を十分に確認できない可能性があります。企業は次の3点から、現在のデータ取得状況を把握しておくとよいでしょう。

  • 電力使用量:拠点別に時間単位のデータを取得できるか。取得できない拠点はどこか。
  • 証書・契約情報:再エネ証書やPPAなどで、発電時間・発電地点・設備の稼働開始時期等を確認できるか。
  • 拠点・調達先ごとの差:国内外の拠点ごとに、利用できるデータや電力市場・証書制度に違いがないか。

現段階でMethod 1への対応を前提に算定ルールを変更する必要があると決まったわけではありません。まずは不足する情報を把握し、今後の議論を追うことが重要です。

SLM編集部コメント

Scope 2の算定方法を見直す際は、算定担当だけでなく、電力や再エネ証書の調達担当者にも確認しておきたいことがあります。たとえば、現在の契約から発電地点や発電時間の情報を確認できるかどうかです。算定担当だけでは分からないこともあるため、調達部門と一緒に確認することが大切です。

新たな制度対応を急いで始めるよりも、まずは電力使用データの取得方法と、調達契約・証書に含まれる情報を部門横断で確認することが現実的です。今後要件が具体化した際に、既存の調達方法を見直す必要があるか判断しやすくなります。

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