サステナビリティ基準委員会(SSBJ)は2026年10月30日、「予想される財務的影響の開示の考え方」と「情報に重要性がない場合の取扱い」の2本のハンドブックを新たに公表しました。あわせて、既存の「追加的な情報」「サステナビリティ開示基準で要求する情報の相互参照が認められる場合」「サステナビリティ関連財務開示の公表承認日」の3本をVer.2.0に更新しました。
今回の2本では、予想される財務的影響の検討手順や、情報の重要性を判断する際の考え方について、具体例を交えて解説しています。SSBJ基準そのものの改正ではなく、既存の基準を実務で適用する際の参考資料です。
財務的影響の検討手順を、洪水の事例で具体化
新しい「予想される財務的影響の開示の考え方」では、洪水によって物流センターが浸水するケースを使い、リスクが財務面に及ぼす影響を検討する流れが示されています。
まず影響を受ける事業活動やバリュー・チェーンの部分を把握し、売上高の減少、棚卸資産の損失、設備の減損など、関連する財務諸表の項目につなげます。そのうえで、利用できるデータや変数、仮定を確認し、定量的な説明を検討するという流れです。
リスクを挙げるだけでなく、どの事業に、どのような財務的影響が生じ得るのかを順に確認する点が、今回の資料の実務的なポイントです。
「重要性がない情報」の扱いも解説
もう1本の「情報に重要性がない場合の取扱い」は、基準で具体的な開示項目や最低限の開示事項が示されていても、情報に重要性がなければ開示する必要はないという考え方を説明しています。
なお、財務的影響の定量情報を開示しなくてよい条件は、2025年4月公表のハンドブックで既に解説されています。今回の公表によって免除条件が新設されたわけではなく、重要性の判断と定量情報の免除は区別して確認する必要があります。
SLM編集部コメント
新ハンドブックを開示準備に活かす際は、サステナビリティ部門だけで財務影響を見積もるのではなく、事業部門が影響を受ける活動・設備を確認し、経理・財務部門が財務諸表とのつながりを確認する進め方が考えられます。
まず1つのリスクを選び、「事業への影響 → 関係する財務項目 → 利用できるデータと仮定」を整理してみると、社内で追加確認が必要な点を把握しやすくなります。重要性判断の記録と、定量化の検討・免除判断の記録も分けておくと、後のレビューに役立ちます。
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